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新潟県農村医学会

新潟県農村医学会 第46回例会発表抄録

平成8年10月19日(土)

1.右肺動脈主幹部塞栓症に対して、下大静脈フィルターを挿入し、経過を観察し得た1例
糸魚川総合病院 内科
平原克己、牧野真人、井口清太郎、望月博史、斉藤隆生

2.高クロール血症で発見されたブロム中毒の一例
刈羽郡総合病院 内科
神林秀敬、長谷川伸、萩原忠久、能沢明宏、漆山勝、木村道夫、小林勲

3.漢方薬服用後に発見されたLiddle症候群の一例
長岡中央綜合病院 内科
小柳由紀子、殷煕安、橋本誠雄、八幡和明、小林和夫、杉山一教
同 神経内科 大野司

4.当院におけるnasal BiPAPを用いた在宅人工呼吸療法の試み
刈羽郡総合病院 内科
佐藤高久、神林秀敬、細野浩之、涌井一郎、木村道夫、小林 勲

5.Etoposideの経口投与が有効であった腎機能障害をもつ肺小細胞癌の1例
豊栄病院内科
高木秋夫、山口正康、宮島透、山田慎二、吉川明

6.鯉の胆嚢生食により肝障害および急性腎不全を呈した一例
三条総合病院内科
五十嵐正人、武井伸一、桑名謙治、岩淵洋一、阿部実、国定薫、長谷川明、上村旭

7.長期CVVHF管理を行った急性腎不全の一例
頸南病院内科
川嶋紳史、斉藤靖史、大野耕一郎、塚田智成、外山譲二

8.ターミナル期における患者・家族との関わり
−受け持ち制を導入して−
刈羽郡総合病院 看護部
若山忍、入沢絹枝、関口和子、宮山夕子、丸山則子、難波優子

9.看護部院内教育計画に対する意識調査
長岡中央綜合病院看護部
稲田朝子、高野多美子、中村節子、中村悦子

10.自排尿型代用膀胱造設患者の退院指導の実態調査
長岡中央綜合病院、看護部
小坂井峰子、外山幸子

11.当院FCRの現況
厚生連三条総合病院 放射線科
目黒正誠、小林昇、坂上富司男、櫛谷昇、佐久美正樹、島倉瑞枝

12.治療に難渋した急性膵炎の一例
頚南病院外科
牛山信、長谷川潤、藤野正義

13.急性虫垂炎手術例における病理組織学的炎症所見の検討
刈羽郡総合病院外科、
平野謙一郎、関谷忠愛、斎藤六温、吉田正弘、杉本不二雄

14.急速破壊型股関節症の両側人工股関節置換術後に多発性にinsufficiency fracturesを生じた一例
刈羽郡総合病院整形外科
石井卓、山田智晃、横田文彦

15.当科における肩腱板断裂の治療
三条総合病院 整形外科
大川 豊、長部敬一、関口秀隆


1.右肺動脈主幹部塞栓症に対して、下大静脈フィルターを挿入し、経過を観察し得た1例
糸魚川総合病院 内科
平原克己、牧野真人、井口清太郎、望月博史、斉藤隆生

症例:70才女性。
主訴:呼吸困難。
現病歴:本年4月15日に椎弓形成術を受け、4月24日より歩行訓練を始めた夜に突然、呼吸困難が出現し、ショックとなる。
血ガス:ルームエアーで、pH7.557、Pco2 26.4、Po2 49.1、BE2.8。胸部X線で、著明な心拡大あり。肺野の鬱血なし。原因不明の急性心不全と診断し、酸素投与、利尿剤、強心剤を使用して経過をみた。5月16日の胸部CTで肺塞栓症の診断が確定。ウロキナーゼの肺動脈内投与、ヘパリンの全身投与、その後ワーファリン内服を継続した。右下肢深部静脈造影で、血栓がみられたため、6月12日にグリーンフィールド下大静脈フィルターを留置した。胸部CTでは、1ヶ月半経過後の8月31日には塞栓は不明瞭になっていた。このときの、血ガスでは、ルームエアーで、pH7.438、Pco2 38.3、Po2 74.4、BE2.4と著明に改善していた。下大静脈フィルター留置とワーファリンの併用は、肺塞栓症の治療と再発予防に有効と考えられた。

2.高クロール血症で発見されたブロム中毒の一例
刈羽郡総合病院、内科
神林秀敬、長谷川伸、萩原忠久、能沢明宏、漆山勝、木村道夫、小林勲

症例は38歳の女性、悪心、嘔吐、めまいを主訴に来院し、眼振、運動失調、腱反射亢進、病的反射、感覚障害を認めた。イオン選択電極法による血清Clは184.8と高値を認め、入院となった。脱水、他の電解質異常、酸、塩基平衡の異常が認められないためCl測定法に問題があるものと考えられた。電気滴定法での血清Cl値は正常値を示した。イオン選択電極法による血清Clは他のハロゲンイオン等に干渉されることが知られており、また、神経症状から当初は内服していた鎮痙剤中のBrによる慢性中毒が疑われた。同剤の中止で症状は改善し、血清Clも正常に戻り退院した。後日判明した入院時のBr濃度は103mg/dlで慢性Br中毒と診断した。しかし、退院後再び症状が出現し、血清Clも181.2に上昇した。病歴の再聴取によりブロムリレイル尿素を含むナロンエース錠を以前よりほぼ連日大量に服用していたための慢性Br中毒と判明した。原因不明の神経症状、高Cl血症を認めた場合は慢性Br中毒を念頭におくことが重要である。

3.漢方薬服用後に発見されたLiddle症候群の一例
厚生連長岡中央綜合病院 内科
小柳由紀子、殷煕安、橋本誠雄、八幡和明、小林和夫、杉山一教
同 神経内科 大野司

症例は76歳女性。88. 5月、左被殻出血で神経内科受診、以後外来で治療中であった。95. 9月、全身倦怠感、口渇が出現し漢方薬(ツムラ麦門冬湯エキス顆粒)を処方されたところ、12月頃より高血圧(170/80mmHg)、低カリウム血症(K2.44mEq/l)をきたした。96. 3月頃顔面、下肢に浮腫がみられたため、利尿剤(アゾセミド)を2週間内服している。96.4月まで漢方薬を投与されたが中止し、その後2カ月経過しても症状改善せず、精査のため入院。低カリウム(K2.59mEq/l)、低レニン(0.4pg/ml)、低アルドステロン(1.2ng/dl)、代謝性アルカローシスを認め、スピロノラクトンは無効だったことから本例をLiddle症候群と診断した。トリアムテレンを投与したところ著明に症状の改善を認めた。 本邦では同疾患の高齢での報告は少なく稀と考えられたため、若干の文献的考察を加えて報告する。

4.当院におけるnasal BiPAPを用いた在宅人工呼吸療法の試み
刈羽郡総合病院 内科
佐藤高久、神林秀敬、細野浩之、涌井一郎、木村道夫、小林 勲

BiPAPは吸気圧、呼気圧を設定可能な換気補助システムで、Respironics社製の従圧式人工呼吸器である。その名称は、Bi-level Positive Airway Pressureに由来する。本システムでは、nasalmaskを装着するだけで、換気補助が可能となる。最近我々は、在宅酸素療法施行中の慢性呼吸不全患者2名の急性増悪時にnasal BiPAPを用いた補助換気を試み、呼吸不全の改善を得た。さらに同2症例は、本システムを用いた在宅人工呼吸療法に移行した。当院での本システムによる在宅人工呼吸療法は、本県初の試みであり、ここでその経験を報告する。

5.Etoposideの経口投与が有効であった腎機能障害をもつ肺小細胞癌の1例
豊栄病院内科
高木秋夫、山口正康、宮島透、山田慎二、吉川明

症例は66歳、男性。検診で胸部異常陰影を発見され、当院で肺小細胞癌(T2N1M1)と診断された。遠隔転移は脳、肺、肝に認められた。尿管結石後遺症による左水腎症を合併していたが、Crは1.0と正常範囲内であった。CDDP、VP-16による初回治療によりCrが2.7mg/dl(CCr:21ml/min)に悪化した。設備の整った他の病院への転院を勧めたが、本人が同意せず、一時退院とした。退院1ヶ月後から平衡感覚障害、食欲不振、意識障害が出現してきたため、再入院となった。腎機能障害を考慮して、VP-16 25mg/dayの21日間経口投与を試みた。投与2週間目には自覚症状はほとんど消失し、入院4週間出来た。外来で、さらに2コース追加し、退院後4ヶ月間はほとんど自覚症状もなく、自宅で生活できた。2コース後の効果判定では、腫瘍はトータルで約50%近い縮小率であった。腎機能障害を持った患者であってもVP-16内服治療は安全に思考でき、しかも効果が期待できる治療法の一つであると思われた。

6.鯉の胆嚢生食により肝障害および急性腎不全を呈した一例
三条総合病院内科
五十嵐正人、武井伸一、桑名謙治、岩淵洋一、阿部実、国定薫、長谷川明、上村旭

鯉の胆嚢は滋養によいとされ生食される風習があるが、食中毒も国内外に散見される。我々は鯉の胆嚢生食により、肝障害および急性腎不全を呈した症例を経験したので報告する。症例は59歳男性。主訴は悪心嘔吐。鯉の胆嚢を生食し、翌日悪心悪寒が出現、救急車にて近医へ搬送された。高度な肝腎障害を指摘され入院。その後腎不全の状態になったため透析目的に当科紹介入院となった。問診より鯉の胆嚢生食をきっかけとした急性肝腎機能傷害と診断し、計6回の血液透析を実施したところ、肝腎障害は速やかに改善、その後も良好な経過を示した。腎生検では急性尿細管壊死像を示すなど、本症に典型的な症例と思われた。本症の発生には地域性が認められ、生活習慣との関連性が示唆された。最近有毒成分は鯉の胆汁酸中のcyprinol sulfateで、その毒性は量依存性であることが解明されてきた。この点から鯉の胆嚢生食はさけるべきであり、広く一般への啓蒙が必要と考えた。?

7.長期CVVHF管理を行った急性腎不全の一例
頸南病院内科
川嶋紳史、斉藤靖史、大野耕一郎、塚田智成、外山譲二

短腸症候群のため在宅IVH管理を行っていた患者が、カンジダ敗血症から急性腎不全を発症した。サイトカインの除去効率等も考え、血液浄化法として、24時間持続血液濾過(CVVHF、Continuous veno−venous hemofiltration)を選択し、病棟看護婦の管理で安全に施行できた。CVVHF開始後2週間程で、急性腎不全は利尿期に入り、その後、血清クレアチニン値は前後で安定した(計35日間施行)。しかし、全経過を通して出血による重度の貧血に悩まされ、最後は出血性ショックのため救命できなかった。除去効率以外にも、循環負荷が少ないこと、持続的に血液浄化を行えることから、CVVHFの有効性が確認された。

8.ターミナル期における患者・家族との関わり−受け持ち制を導入して−
刈羽郡総合病院 看護部
若山忍、入沢絹枝、関口和子、宮山夕子、丸山則子、難波優子

当病棟では「ターミナル期の看護を考える」研究を行い、患者はもちろん、家族との関わりが大切であることを認識した。しかし実際には日替わり受け持ちの為、看護の責任感が薄らぎ継続性に欠けていた。患者、家族と密接に関わりを持つことで、少しでもその人らしいターミナル期を送れるようサポートしたいと考え、受け持ち制を導入した。そして、家族へのアンケート調査を通じて家族の抱えている問題等を知り、看護婦として果たす役割について再検討した。その結果、以前より患者、家族とのコミュニケーションが取り易くなり、家族を含めた援助も行なわれるようになった。また患者に関心をよせ、受け持ち看護婦であるという意識ずけもされてきた。今後、今回の研究を元に、受け持ち制の充実を図り、その人らしい最後を迎えられるよう援助していきたい。

9.看護部院内教育計画に対する意識調査 長岡中央綜合病院看護部
稲田朝子、高野多美子、中村節子、中村悦子

<はじめに>
看護の質をレベルアップするため、6年前より院内教育を系統的に実践してきた。経年別・コース別を時間内に、その他自主研修を時間外に計画してきたが、看護業務の煩雑化に伴い、時間内研修は業務を圧迫している、研修の回数が多いなどマイナスの意見も聞かれるようになった。そこで、平成7年度の看護婦の研修受講状況と看護部院内教育計画に対する意識について調査を行ったので、その結果について報告する。
<方法>
アンケート調査.対象 看護職員 350名
<結果>
1.年間の院内・院外研修受講率は84.6%受講回数は2回受けたが一番多かった。私的な時間を使って受講した者(以下自己研)は42、6%であり、年代別にみた自己研の受講率は年代が高い程高くなっている。
2.看護部院内教育受講状況については、経年別で 123名、コース別では延べ人数で看護研究84名、PONR学習会 111名であった。時間外の自主研修では、「心電図の読み方」「カンファレンスのもち方」「看護論」など延べ 529名の受講であった。
3.院内教育計画の意識調査においては、時間内研修について、(1)研修回数適当が80.3%、多いが4%(2)時間の取り方は1日が適当48.9%、半日が適当44.3%(3)時間内研修が業務を圧迫しているかについては、80%の人が圧迫していると答えている。しかし、時間内研修は必要かについては、圧迫群と非圧迫群とを比較してみると、いずれも高い必要性を認めている。時間外研修の回数は82.6%が適当であると答えている。
4.研修は看護のレベルアップに繋がっているかについては72.6%が繋がっていると答えている。
<考察>
年間全体の研修受講率の高さや研修が看護のレベルアップに繋がっていると答えている人が多い事、また、平成7年度の教育計画に対して時間内研修は業務を圧迫していると答えながらも時間内研修は必要と答えている人が多い事から、看護部における教育計画に対する期待が大きいことが考えられる。当院における看護部の教育目標は "看護の本質を追求し、専門職としての自覚を高め、自ら学ぶ姿勢を養う”を上げている。 経年別教育では、卒後1年目から4年目まで継続教育を強化し、卒後5年目以上の研修はリーダーとしての資質を向上させるために計画している。コース別は焦点学習として職場ごとの代表者によって取り組んでもらい、時間外の自主研修は全体を対象にし、希望する内容に自由に参加できるようにした。これらの計画にたいして時間内・時間外研修の回数は適当であると答えている人が80%以上を占めた。時間の取り方の適否について1日、半日とほぼ同率で大差なかったのは、時間内研修は必要だが業務に影響を及ぼすという受け止めの結果であると考える。年代別研修受講状況は院内の受講率、自己研の受講率ともに40〜50代が高く、研修意欲が感じられる。
<むすび>
看護部の院内教育計画は、職員のニードほぼ満たしていると考える。しかし、時間内研修が業務を圧迫していると感じている人も多く、時間の組み方、内容の精選、効率化について今後考えていかねばならない。

10.自排尿型代用膀胱造設患者の退院指導の実態調査
長岡中央綜合病院、看護部
小坂井峰子、外山幸子

<はじめに>
膀胱癌の治療として、当院では、平成4年より、自排尿型代用膀胱造設術が17名に施行された。退院1年後に生活調査を実施したが外来での生活指導の指標を得るにはいたらなかった。3年経過した現在尿もれはどのように変化したか、QOLは高められたか、新たなる問題はないか実態調査し、外来での継続看護が提供できる示唆を得たので報告する。
<研究方法・対象>
平成4年4月〜平成7年10月迄に自排尿型代用膀胱造設術を受けた患者13名にアンケート調査を行った。回収数12名(回収率93%)
<結果・考察>
日中の尿もれは2名にみられたが、退院後ほぼ1年以内で消失している夜間・朝方で気づかないうちに尿もれする人は9名であった。膀胱許容量を知らない人は5名、夜間定期的排尿を行っていない人は4名で、夜間排尿の回数は1〜3回であった。以上から自分なりの尿意が感じられると、夜間定期的排尿の必要性を軽視しがちになる実際に膀胱許容量が 500ml位が2名、尿路感染症での入院が1名みられた。これらのことから、巨大膀胱への可能性が大きく重要な観察視点と考える。社会的な面では、公衆浴場や旅行を経験した人は8名おり、旅行に出掛けない4名中2名も、公衆浴場を経験していた。ボデーイメ−ジが損なわれないことは心のこだわりも少なく、人前でも体をさらけ出せると言う利点につながり積極的な社会生活への参加が感じられた。1年以内に8名が仕事に復帰していた。中には事務職から肉体労働に変更した人が2名いたが体力増強や病気を忘れる為の目的を持っていた。このことは、家庭や社会において自分の役割が果たせ、手術前と同じようなQOLを維持し始めていると考える。新たなる問題はインフォームドコンセントで納得して手術を受けたが、3名(25%)が病気に対しては不安と答えている。この事実は癌告知はされていないもののぬぐいきれない予後への不安があると考える。退院時の指導として尿もれ・便秘・膀胱許容量等の説明を行っていたが、腸閉塞3名、尿路感染症1名が入院した事実も見逃せない。外来受診時、看護婦の果たす役割は、予測できる諸症状の把握、現在の生活状態を把握することが重要である。その為にもチェックリストを作成し、外来と病棟との継続看護支援の方向を見いだすように活用していきたい
<結論>
1.QOLが高まり、尿もれがなくなると退院指導での注意点が軽視しがちになる。尿路感染症や腸閉塞など入院の事実から新たなる問題が生じていた。
2.外来で個々の患者の状態にそった指導をするためには観察用チェックリストを用いた看護の継続性を計って行きたい。

11.当院FCRの現況
三条総合病院 放射線科
目黒正誠、小林昇、坂上富司男、櫛谷昇、佐久美正樹、島倉瑞枝

当院にFCRが導入されて9ヶ月が経ちましたので、経済性を主にその他の特徴を報告いたします。FCRはシステムは画像をデジタル処理いたしますので、デジタル処理料が加算請求できます。一般撮影で75点 特殊撮影で95点 造影撮影で120点 の加算請求が出来ます。それよる増収は、当院規模では1ヶ月平均で140万円弱になります。しかし、FCR用のフィルムが一般システム用のフィルムより購入価が高く、1ヶ月平で約20万円高くなります。反面、現像液、定着液等の処理液は、1ヶ月平均で約2万円安くなります。それに伴い、現像液、定着液の廃液量も減り、廃液の回収料金もかからなくなり、環境問題でもプラスになります。現時点でのFCR導入による増収は、1ヶ月当たり120間円前後になります。将来のデジタル画像のメリットを生かした電子保管、その他の技術的なことを考えても非常にメリットの多いシステムだと思います。

12.治療に難渋した急性膵炎の一例
頚南病院外科
牛山信、長谷川潤、藤野正義

症例:61歳男性
家族歴:特記すべきことなし
既往歴:昭和49年胃潰瘍にて胃切除。昭和55年肺結核にて入院。平成元年から6年までに腸閉塞にて6回入院いずれも保存的に軽快。
現病歴:平成7年3月27日、朝腹痛出現、同日当院受診、入院。腹部所見:腹部膨満、臍上部に圧痛を認めたが、筋性防御はなかった。血液ガス所見にて著明なアシドーシスを認め絞扼性腸閉塞の疑いにて緊急手術。急性膵炎と判明した。膵床ドレナージ施行したが術後熱発続き腸閉塞改善せず、4月10日再手術した。大腸が所々壊死しており大腸亜全摘する。術後ドレーン洗浄続けるも汚染増強し、出血を伴うに至り4月17日再三開腹す。数カ所に膿瘍を認め、回腸人工肛門の口側30cmの部位に穿孔を認めた。両側腹部に開窓し人工肛門を造設しなおす。4月22日MOFにて死亡。
まとめ:壊死性膵炎は致命率が高く、初回手術時に術後腹腔内洗浄が十分にできる程度にドレナージをつける必要があるとかんがえる。

13.急性虫垂炎手術例における病理組織学的炎症所見の検討
刈羽郡総合病院外科、
平野謙一郎、関谷忠愛、斎藤六温、吉田正弘、杉本不二雄

当院における虫垂切除症例に対し組織学的炎症程度による分析とその中の炎症軽度例を術前に手術適応から除外する鑑別点の有無についての検討をおこなった。1994年4月1日から 1996年8月31日までに当院で虫垂切除及び組織検索提出例を対象とした。組織学的炎症程度の内訳は、103例中normal:19例(18.4%)、catarrhal:2例(2.0%)、phlegmonous:68例(66.0%)、gangrenous:14例(13.6%)だった。術前所見では白血球数とCRPがphlegmonous以上の群で有意に高値だった。また、上腹部痛が初発症状であった症例もphlegmonous以上の群で有意に多数だった。一方、体温、腹膜刺激症状の有無については両群間で有意差は認められず、保存的治療も可能であったと推定された20%の症例を術前に診断することは困難であると思われた。しかし組織学的にnormalな虫垂は臨床的にもnormalといえるのかどうかは今後の検討課題といえる。

14.急速破壊型股関節症の両側人工股関節置換術後に多発性に
insufficiency fracturesを生じた一例

刈羽郡総合病院整形外科
石井卓、山田智晃、横田文彦

急速破壊型股関節症に、両側人工股関節置換術後多発性のinsufficiency fractures(IF)が発生した1例を経験。症例は、70歳女性で、初診時の3ヶ月前から右股関節痛のため歩行困難となった。右人工股関節置換術を施行後10週ころより右膝痛が出現。術後17週のレントゲン像で、脛骨内側顆部に帯状硬化像を認め、IFと診断。左股関節痛が強いため、左人工股関節置換術を施行。術後10週頃より左膝、左仙腸関節付近と左鼠径部に痛みが出現。骨シンチで腰椎、仙腸関節、仙骨、左恥骨、左膝関節に集積。多発性のIFと診断。Pentecostらは、IFを明らかな外傷がなく、生理的な負荷が強度に低下した骨に加わって生じるstress fractureと定義。全身的骨量低下を基礎とし、股関節痛による歩行障害で下肢の骨量低下が増強し、手術による下肢アライメントの変化が生体力学的応力の変化をもたらしたと考えられる。

15. 当科における肩腱板断裂の治療
三条総合病院 整形外科
大川 豊、長部敬一、関口秀隆

【目的】
肩腱完全板断裂例で手術を施行した6例中4例の術後成績を検討し、手術適応と有用性などを考察した。
【対象および手術法】
症例は全例男性で肉体労働従事者であった。年齢は46歳〜75歳、術後経過観察期間は5週間〜2年6カ月、平均6.2カ月であった。手術は McLaughlin法に準じて行い、anterior acromioplastyを追加した。
【結果】
調査時、全例で肩外転130゜以上可能であり、経過の短い症例で軽度の運動時痛を認めたが、夜間痛を訴えたものはなかった。75歳の症例でも肩を酷使する果樹園での作業に現役で従事していた。
【考察】
今回の4例は、短期的にではあるが良好な成績を得た。我々は外傷性の腱板完全断裂は腱板のmyostatic contractureと器質化が進行しないうちに早期に手術をおこなう方針であり、外傷のないものや陳旧例でもADL障害の強い場合には手術適応と考えている。診断が困難な陳旧例や不全断裂例を見逃さず、正確に手術適応を決定することが大切である。

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